Durabilityの科学

付録C:用語集(Glossary)

付録C:用語集(Glossary)

本シリーズで使用する専門用語・略語の一覧です.初出の章も示しています.


基本概念

用語 正式名称 意味 初出
Durability 長時間運動中の生理学的特性の変化率(Maunder [1]).「スタート時の体力がどれだけ残るか」を表す概念 序章
VO₂max / VO₂peak 最大酸素摂取量 体が1分間に取り込める酸素の最大量(mL/kg/min).有酸素能力の指標 序章
sLT Second Lactate Threshold(第2乳酸閾値) 乳酸が急増し始める運動強度.これを超えると長時間の維持が困難になる「天井」 第1章
CP Critical Power(臨界出力) 理論上「ずっと維持できる最大の出力」.CPを超えると有限時間で必ず疲弊する 第4章
RE Running Economy(ランニングエコノミー) 一定速度で走るのに必要な酸素量.燃費のこと.値が小さいほど効率が良い 序章

検査・測定

用語 正式名称 意味 初出
RCT Randomized Controlled Trial ランダム化比較試験.因果関係を証明できる最高レベルの研究デザイン 第5章
TTE Time to Exhaustion(限界走行時間) 疲労困憊まで運動を続けられる時間 第5章
EF Efficiency Factor(心拍効率) 心拍1拍あたりの仕事量(登山では心拍1拍あたりの登高量).後半の低下がDurabilityを反映する 序章
RMSSD Root Mean Square of Successive Differences 心拍変動(HRV)の指標.自律神経の回復度を反映する 序章
1RM 1-Repetition Maximum 全力で1回だけ持ち上がる最大重量.筋力の基準値 第5章

運動生理学

用語 正式名称 意味 初出
SSC Stretch-Shortening Cycle(伸張-短縮サイクル) 筋肉が伸ばされた直後に縮む「バネ」の動き.着地衝撃の吸収と推進力に関与 第5章
RFD Rate of Force Development(力の立ち上がり速度) 筋力を素早く発揮する能力.岩場での一瞬の踏み込みに必要 第5章
SV Stroke Volume(1回拍出量) 心臓が1回の拍動で送り出す血液量.脱水で低下し,心拍ドリフトの原因となる 第4章
ドメイン・スリップ Domain Slip 90分以降に「ヘビー強度」から「シビア強度」へ運動ドメインが滑り落ちる現象 第3章
デカップリング Cardiac Decoupling(心拍ドリフト) ペースが変わらないのに心拍が上昇する現象.脱水・体温上昇の指標だが,ゴールタイムの予測には使えない(r = -0.058) 第4章

トレーニング

用語 正式名称 意味 初出
80/20法則 Polarized Training(極性トレーニング) トレーニング時間の約80%を低強度(Zone 2),約20%を高強度で行う配分.Seiler(2010)が提唱 序章
ラッキング Rucking 荷物を背負って歩く低強度トレーニング.80/20法則の「80%」に該当する有酸素基盤 第6章
プライオメトリクス Plyometrics ジャンプ・バウンディングなど,SSCを利用した爆発的なトレーニング.腱のバネ特性を強化する 第5章
Zone 2 「会話できるペース」の運動強度帯.脂肪燃焼が主体で,長時間維持できる 序章
ネガティブスプリット Negative Split 後半のペースが前半より速い戦略.Durabilityが高い人に可能 序章

クライミング指標(第6-7章)

用語 意味 値の方向
GE Gravity Efficiency(重力効率).重心移動の効率性 ↓ 低いほど効率的
Jerk 加速度の変化率.動きの滑らかさ ↓ 低いほど滑らか
腕伸展率 腕がどれだけ伸びているか.脱力の指標 ↑ 高いほど脱力できている
静止/動作比率 壁上で静止している時間の割合 ↑ 高いほど観察してから動いている
ピーク速度 ムーブ中の最大速度 ↓ 低いほど制御されている

参考文献の略記

略記 論文
[1] Maunder 2021 Durabilityの定義論文
[2] Meixner 2025 スタミナの4分類
[3] Jones 2023 「第4の次元」論文
[6] Zanini 2025a 90分・120分走の崩壊データ
[7] Hunter 2025 ロンドンマラソン実走データ
[8] Zanini 2025b 筋トレ介入RCT(RE -2.1%,TTE +35%)
[9] Jones & Kirby 2025 3本柱レビュー


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